2018.9.16  日曜日 23時


あさイチで訪問看護さんが来てくれた。

点滴とって不安になった。

って話をする。

なにがいいって、答えが無い世界。

どの処置がその人のために最善なのか

それは誰にもわからない。

また、点滴復活もできますよ。

と言われたけど

もうそれはいい。


血管はもう針を刺す場所もない。し、

結局点滴だって胃ろうの延長にあるものなのだ。

何も管をつながないでちょうだい。

それは見栄で言ったのだろうか?

まさか自分がこういう事態になるとは予想しないで言ったのだろうか?

そういう事態となったしずこさんは何思ってる?

ケアマネさんにも 延命処置はしないで頂戴、と

何度も言っていたそうだ。

あのヒトはくどいかならな。


しかし、

少なくとも不幸ではまったくない。

とても幸せそう。

毎日たくさんの人がやってきて

しずこさん、ロミオさん、おばちゃん、ばあちゃん、おかあさん、

と言ってくれる。

一日中誰かいる。


病院より全然いいですよ。

って看護師さんはしみじみ言っていた。

院長先生が昨日来て、にやにやわらってむにゃむにゃ言って帰ってゆきました。


っていったら大ウケしていた。

あの先生、不思議ちゃんですよね。

と言ったら更にウケていた。(笑)


そっからユキちゃんが来て

津からUくんがきて

大阪からいとこのKちゃんが来て

更に

しずこさんの同級生のA子さんが来た。

A子さん大きな声で

ロミオさんロミオさん

あんたと四日市の楠の工場でパラシュートつくったたんやんあ。

みそらずずめのなんちゃらは~♪

と、当時の校歌か軍歌みたいなのを歌い出した。


それにロミオはめっちゃ反応。

さらに

足代を追いかけて東京にいったんやんな。


と、衝撃の事実を暴露。


そんなことは一言も聞いてなかったぞ(笑)


子どもの頃はぼくに

お父さんはね。明日、結婚しよ。

ってプロポーズされたの。

って言っていたのを覚えいる。


まあ、二人のなれそめなんんて

自分の子にわざわざいう親はいねえよな。


さらに

KちゃんはスペインにいるいとこのUちゃんを

無料電話アプリで呼び出した。



しずこさんのベッドを囲んで

わいわいの日だった。

まさに

ロミオフェス

ヘッドライナーは

A子さん(笑)


夕方 みんなが帰って

バイクで市内を走った。

むかし

足代が家を出て

その後 みよこさんと結婚して

はないちゃんが育った家にいってみた。


もう跡形もなくて

べつの家が建っていたが

その家も20年くらい経って

古くなっていた。


もどって

お酒もって

もらった馬刺しをもって

しずこさんのベッドの脇に座って

飲みながら

問わず語りの

モノローグ3日目


しずこさんの同級生の話


ぼくが幼い時

しずこさんの女子会に連れて行ってもらった。

4-5人のグループで

白バラ会っていうのをつくって集まっていた。

いま、思い出した。(笑)

その中でれいこおばちゃん が好きだった。

すごくチャーミングなおばちゃんだった。

れいこおばちゃんの家のまえには

小さなお稲荷さんがあった。

玄関上がると暗い廊下があって

猫がいた。

壁の柱に 般若の面があってそれがすごく怖かった。


しずこさんな

目をおおきくあけて

じいってこっちを見て聞いてくれていた。

しずこさんに話を聞いてもらえて

すごく嬉しかった。

ロミオは自分ファーストの人間だったから

人の話を聞くようなヒトではなかったし。

自分の意見がいつも正しくて

私の言うとおりにしていれば 間違いはないの。

って よく言っていた。


へきえきするくらい くどかった。

うるさいんじゃババア ボケー!

とよく怒鳴った。

暴力はなかったがレッドゼッペリンを爆音でかけてやった。

そのステレオだって

早く、お父さんに電話して買って、っていいなさい。

とそんなことを言われて

そんなこと言うの嫌だったけれど

ポータブル電蓄でLPをきくのは 

耐えられなかったので

電話して 買って、と言ったら

すきな10万円のコンポを買ってくれた。


そんなとりとめもないことを

ビール飲みながら 話した

ありがとうね。 いろいろあったけど

あんたもひっしやったもんな。

わかるよ。

みんなそれぞれ必死で生きているよね。


でもこうやって

話をきいてくれて嬉しいよ。

前のロミオやったら

ぜったいこんな話できんかったもんね。


今ここにいるしずこさんは

前のロミオと全然違う。

もう鼻からカテーテル入れるのも

ほぼ8割で一発で入るようになった。(笑)



昨日の夜はほとんど痰吸引なかったが


きょうはよく痰が絡む

水分とっていないのに


ほんとに最後が近づいてきた。

って、

毎日 毎日思ってる

でもまた同じ明日がやってくる。

もう、確実に

数日の間なのに

その数日がいつなんだろう?

それが今、

でも不思議ではない。

毎日、オレも崖っぷちのようなものだ。

でも、この死を前にしたからこそ

たくさんの話ができて

たくさんの人々とつながった。

それだけでも

ロミオのチカラはすごい。

魔力と言っていいだろう。(笑)



まさか自分はそんなことは絶対できないけど

親思いの息子が

かあちゃん、楽になってけろ。

って首をぐっと絞めるとか

実際にあるんだろうな。






どうか

苦しまずに 楽に逝かせてやってほしい。

こんな時くらい

安楽死を選べればいいと思う。


今は法律でゆるされない。

これからの多死時代、

安楽死を 考えるべきだ。


オレは

肉体は苦しんでも

魂が喜んでもらえるように

ハッピーに送ってやるよ。




看取り日記