2018.9.12  水曜日 17時


90歳の誕生日を迎えることができた。

意味はないけどなんとか90歳までは生きていて欲しかった。

ずっと毎年誕生会はしていたが

去年は仲が悪くて誕生会をしてあげられなかった。

最後くらい、と思って、

ユキちゃんにケーキを頼んで買ってきてもらった。

蝋燭に火をつけてケーキもって言ったら

しずこさんは寝ていた。

お昼ごはんはケーキになった。

(笑)


ま、そんなもんだ。



朝からケアマネさんもお花を持ってきてくれた。

わざわざ自分のお金でプリザーブドフラワーの花束を買ってきてくれた。

すごく嬉しい。

ケアマネさんは本当にしずこさんの事を思ってくれているのがよくわかる。

ありがとうございます。





そのあと、いとこのHくんがわざわざ群馬県から訪ねてくれた。

Hくんは牧師さんでもあるので

たくさん祈ってくれた。

Hくんと会うのも何十年ぶりだろう。

ありがとうございます。




しずこさんは

自分の誕生日をわかっているのか

わかっていないのか

よくわからないけど

目は見えているし

耳も聴こえているが

理解はしているかどうかはわからない。

でも、ずいぶんおだやかな目になっている。

全ての虚飾を取り払った

素の状態になっている。




午後から院長先生が週一回の往診に来てくれた。

院長先生もニコニコして

「いいものですな。家でこうやって看取るというのは。」

と言ってくれた。

T病院には本当にお世話になった。

まさかこんなに深くかかわるとは思っていなかった。

訪問看護さんもとてもいい方ばかり。

 

みんなは、「大変ですねえ」と言ってくれるけれど

じつはそれほど、大変でもない。

吸痰もすっかり慣れた。

夜は、苦しそうにぜいぜいするときもあるので

寝られないときもあるけど

昨日はぐっすり眠ってくれた。

床ずれの体位変換も

最新のエアベッドがやってくれるので

なにもしなくていい。


30分-1時間に一回くらい様子を見に行って

起きてたら手を握っておでこに手をあてて

だいじょうぶ?って

声かけして

しばらくいる。

みたいな。

介護が大変というよりも

来客の応対、訪問看護さん、その他 仕事、など

そっちの方が本当に忙しい(笑)

毎日、昼寝する暇がない。

PCの前の椅子にすわったまま

しずこさんのベッドの横の柵にもたれかかって

うとうとしたりする。

でも 、誰か来てくれるのは本当に嬉しい。

みなさんに感謝。

ありがとうございます。



でも、本当に看取り。って

いいものだ。

ずっとネットのアプリで

クラシック音楽を流している。

気持ちはとても穏やかな気分でいられる。


自分の母親だから、という訳でもない。

もし、ご縁があれば

孤独に死んでゆくひとあれば

誰でも看取ってあげたいと思う。



実家の周りも

独居老人がたくさん住んでいる。

それぞれみんな孤独。



しずこさんは本当に運がいい。

脳卒中で倒れた時

もし、曜日がずれていれば

そのまま24時間以上誰にも気づかずに

亡くなっていたかもしれない。


もし、そうなっていれば

ロミオが死んだ。ということで

ぼくらはもっと塩対応になっていたかもしれない。



今はロミオという鎧をぬいで

素の状態になったしずこさんだから

ぼくもこうい安らいだう気持ちでいられる。


今日は


受容する。


ということを思った。

生も死も人の心もそのまま

受容する。


もう、本当に近づいたみたいだ。



昨日、おしっこの管とバッグを換えてもらったら臭いがほぼなくなった。


よかった。

 

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看取り日記