2018.9.06  木曜日 午後11時

午前中 ユキちゃんがおかずとご飯と着替えをもってきてくれた。

訪問看護さんがきてくれて

からだふいてくれて おむつ交換 吸痰 点滴

いちいち声かけしてくれるので

すごく安心なかんじ。

しずこさんのベッドの横が

タンスとか置いてあって

狭くて、椅子一個置くのがやっとだったので

もっと広くしようと

タンスを移動させて

その後を雑巾できれいに拭いた。

ものすごい埃の塊。

これでひろくなって

椅子が3つ置ける広さになった。

しずこさんはもう首が動かせなくて

ずっと首を右にひねった状態でいる。

筋肉が固まってもう動かない。



仕事の打ち合わせとかいろいろやってもう1時近くになっていた。



こないだきたレアいとこの弟、Sちゃんが大阪から来てくれた。

そしたらしずこさんの友だちのOさんもやってきて。

しずこさんのベッドのまわりで

4人でわいわい。^^

毎日いろんな人が来てくれてにぎや。


しずこさんもすごく嬉しそう。

病院の時と表情が全然違う。


しずこさんはロミオという武装を解除して

静かなしずこさんになった。

しずこさんの漢字は

ココロザシにツです。

ココロザシ高すぎていつも突っ走っていた。

ロミオという鎧をまとって戦う人生だった。

なにかいつも満たされなかった。

満たされなくて、認めてほしくて ギラギラしていた。

彼女は満足と言うものがなかった。

だから、ぼくらはとてもついて行けなかった。

ぼくらだけでなく誰もついて行けなかった。

親分肌のところもあって

みんなに気前よくいろんなものを奢った。

仕事やめた後も

「これから先の、なにか手立てを考えないと、いけないわ。」

と一人であせっていた。

求めても求めても得られなかった。

お金を稼いでも、旅行をしても、

私を認めて、すごいと言って。

でも、認められなかった。

すごい、って言ってるのに満足できなかった。


それが3ヶ月前に脳卒中で倒れて

今、ここで

彼女はずいぶん満たされている。


動くのは顔と右手だけ。

何もかもなくなって。

そうしてやっと乾いていた心が 満たされた。

今のしずこさんは、本当にいい表情をしている。

夜に咳き込んだり、痰が詰まってくるしそうだけれど

それ以外はほとんど苦しんでいる様子はない。



本当に人生って最後まで何がおきるかわからない。

アドラーも言っていたけど

人は最後の一日からでも変われるのだ。


ぼくはぼくで

この生活すごく楽しい。

料理つくって 人と話して

仕事、あんまりしてないけど。ま、ちょっとはしている。


ユキちゃんもぼくがこっちに来てる分だけ

いろいろ負担をかけているが

弁当やおかずをつくって持ってきてくれたり

洗濯ものを届けたりしてくれている。


あと5日でしずこさんは

満90歳になる。

さて、90を越えれるのか?

ニッポンのナカムラシズコ



看取り日記