2018.9.04  火曜日 午後7時

 

ふわふわと時間がすぎてゆく。

日々の実感がわかないが
台風だった。

 

 

訪問看護師さんも

時間を繰り上げて 朝9時ごろに来てくれた。
こんな台風の日も来てくれて
とてもありがたい。

しずこさんにいちいちたくさん話しかけてくれる。

吸痰 おむつ交換 点滴 体位変換 
など
結局おむつ交換も看護師さんに任せてしまった。

っていうか

一日3時間の点滴で水分だけとっているので
ウンチも今日は出ていなかった。

握る手のチカラも
病院で入院していた時のような
力強さは無くなってきた。
目のチカラもすこし弱ってきた。


ベッドの横に座って
右手で手を握って
左手で 頭に手をあてて 

赤ちゃんにするように とんとんする。
小さな目を開けて じっとこっちを見るので覗きこむ。

ジッと目を合わせる。
光もすこし弱まってきた。
ちょっとずつ段階が進んでいる。

まさにしずこさんは
時間を逆にたどって
だだっこから赤ちゃんに戻って行っている

そうして 大いなる根源に帰ってゆく。




ぼくが今過ごしているのは
その過渡期の時間。
もうすぐ無くなって行く時間の中に
しずこさんと二人で過ごしている。
この時間が長く続いてほしいな。
とも思うようになってきた。

それはとても静謐で平和な時間だから。
でも終わりの時間も近づいている。
だから静謐で平和なのだ。

悪いけど
元通り元気になって欲しい、なんて
絶対思わない。 (笑)
もう、あの獰猛なロミオはいやだ。

もし、今、元気になったら
逃げ出してしまうわ。


喋らないしずこさんは
ほんとにかわいい。
でも、お母さん、と言う訳でもないんだよな。

元気だったころのしずこさんは
もうほんとに勘弁(笑)



今、ここにいる人が
しずこさんじゃなくてもいいんだと思う。
どこかのおばあさんでも。
どこかのあかちゃんでも

何て言えばいいんだろうか?
しずこさんという人格とか母親とかを
超えたところの
生命に 対する
愛おしさなんだろうか?



今、生命の灯が消えようとしている
最後の時を一緒に過ごさせていただいているという
ほんとありがたいことだと思う。


同じように
しずこさんのぼくに対する愛は
今のぼく ではなくて

幼いころのぼく

のイメージをずっと持ち続けていて

いつまでたってもぼくは
3歳児のみーもん、だったのだ。

その気持ちは子どもを持ってみると わからなくもない。
自分の子どもが大人になっても、
やっぱり幼い頃の一番かわいかったころの イメージを、
もう全く別人格の成長した自分の子どもに

投影してしまうのだ。

子どもにとっては大昔でも
親にとってはつい最近の出来事なのだ。

それは仕方がないが、
それをあからさまに押しつけられる子供とっては
たまったものではない。


若い頃は、母親としてもっと認めていたので

今の自分を認めてほしくて
いろいろ話をしたりした。
でも彼女にはぼくがどうにも理解できない存在でもあったように思う。


ぼくが評価してほしい、現在のぼくの部分はまったく理解できないみたいで

この子はとってもかわいい子だったの素直でね。ふとっちょでね。

と褒めるのはいつも3歳児のみーもんのことだけだった。

だんだんと僕も成長して

ある時点で、ダメだこりゃ。と

いくら説明しても、理解してもらえないという事がわかったので
そのことはあっさり あきらめて
だんだんと距離を置いた視点でいられるようになった。
母親という幻から遠ざかることができるようになった。





あんな子じゃなかったのにね。



と、よくユキちゃんに言っていたらしい。

しずこさんのぼくに対するイメージは

幼くてたよりなくてママ、ママと
いつも頼ってくれる3歳児のイメージをずっと持っていたから



今のミキは変わってしまった。

 

嫁のせいで(笑)

なんて 。



その辺から

親子関係のこじれの原因があったのだ。

いつまでも支配できると思っていた

わが子が突然(でもないんだけど)コントロールできなくなる。

特にしずこさんは支配欲がハンパなかった。



親も子と、ともに成長して

大人になった自分の子供をありのままに受け入れなければいけないのだ。

その辺がきっと、しずこさんにとっては出来なかったのだろう。

母にとって息子は永遠の恋人なんだろうか。

息子にとって母親は永遠のストーカーなのかもしれないな。(笑)

でもその永遠も永遠ではない。



いまは

ちゃんと

しずこさんを

大事にしている。

よかったね。



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すこしずつロミオを片付けて

自分が生活しやすいようにカスタマイズしてる。

泊まり込み介護というけれど

まあ、一人特養みたいなもので

24時間勤務の管理人みたいなもんで

介護に対しては

看護師さんが大事なことをほとんどやってくれるので

ぼくはおしっこ替えたり 手を握ったり 点滴の針を抜いたり するくらいで

別に大したことはないが



なんせ仕事もしないと

こっちの方がせっぱつまっているので

のほほんとしている訳にもいかないのだ。

きょうはずっと商品を撮影してページをつくっていた。


でも料理を作れるのは楽しい。

毎回作ってインスタにUPするのが

日々の趣味のようだ。(笑)




来月からは紙芝居も

毎週スケジュールを入れてしまった。

来月はどうなっているのか?

そっちの方が不安だ。




看取り日記