看取り日記



2018.9.02  日曜日 午後7時


昨日、しずこさんの写真を整理していた。

朝、しずこさんは目をさましていたので

小さなフォトアルバムを見せてあげると

写真を目で追っていた。

手を握り、目を覗きこむ。

まだ光はあるな。



その写真は、しずこさんのインドの友だち。

そのタイミングでまさインドの友だちから

SNSでメッセージが来た。

写メ撮っておくってあげた。

以心伝心かな。

ベッドの横でしばらくの時間を過ごした。


その後、

ユキちゃんがやってきて

いろいろ仕事もして

一旦ぼくは家にもどり、

仕事に必要なものを取りに帰り

こっちでも仕事できるようにした。

その間に訪問看護師さんも来てくれた。

訪問看護師さんは

点滴をいれてくれて、

オムツを替えてくれて

吸痰をしてくれて

蓐瘡がないかチェックしてくれる。

でも、

おしっこの処理はしてくれない(笑)


子どものころの畑には

そこらじゅうに肥えツボがあった。

ぼくらは 

肥えタンゴとか

タンゴ鉢とか呼んでいたが

タンゴの由来は不明

昔は人糞を肥料にしていたので

タンゴ鉢から桶で

野菜に撒いていたのだ。

遠足にゆくとかならずはまるやつがいた。

そのタンゴ鉢の匂いが

朝の採尿でお部屋の中に充満する。

うううううううううう。

人間のにおいだ。


早くここでも仕事をできる体制をつくらないと。

毎日、すこしずつしずこさんのモノを片付けて

ぼくが生活と仕事をしやすいようにカスタマイズしてる。

こちらで商品写真を撮影してUPできるようにしていかないといけない。

のほほんと介護生活ばかりやってるわけにはいかないのだ。


昨日来てくれた、キャリアウーマンのCちゃんは

華やかなお仕事の裏側で行われていた

壮絶な介護人生を語ってくれた。

いつもおしゃれで着飾って、

海外出張もこなして

、素敵なホテルの写真を見せてくれるCちゃんでしたが

すっかりセレブかな。と思っていたら

両親、おばあちゃんの介護を一手に引き受けて

認知症に胃ろうに、

しかも何十年と。

ぼくの介護なんて、

ほんと至れり尽くせりで

介護なんて言っていいんだろうか。と思うくらいだ。


夜、晩御飯をつくっていたら

しずこさんの学生時代からのお友達が訪ねてくれた。

この方もぼくも7歳のときから知っているAちゃん。

Aちゃんといっても89歳 。

ロミオさんロミオさん、って大きな声で

揺さぶっても、ロミオさんは

があがあ眠っているばかりで

全く起きなかった。

一日に起きている時間は

おそらく2時間くらいかな。

そうしてあと

数日か 十数日か わからないけど

24時間目を覚まさない時間が来るのだ。


その時、ぼくは泣くだろうか?

まあ、とりあえず泣いておこうかな。

とか

泣かないで淡々とゆこうかな。

とか。


人間の一生はほんとにいろんなことあるね。

今、生きている人、みんなそうだよね。

それぞれ、いっぱい背負って。

この地球上で60億もの人間が

背負っているものを想像したら

途方もないよね。

そうして


それを

いつかみんな

リセットする日がくるんだよね。



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