2018.8.23 木曜日 午前2時

しずこさんは うるさかった。

いつも 

大げさに自分をアピールするので

ほんとに 家族は また始まった。。。

と辟易していた。


だいたいは 同じ話を

テープレコーダーのようにリピートするので

話は覚えている。

 

いかに自分が

がんばったか

輝いたか

すごいか

とか

だいたいそんな話。


おばあちゃん、すごいでしょ。

って孫を相手によく言っていた。


たしかに

すごい人だった。

大人になってから

女の人が一人で生き抜いてゆくには

あれぐらい 強気でないと。

この社会は男尊女卑で
女性だとみると
強気にでてくる営業マンとかゴマンといる。
女だからとなめてかかり 代金を渋る旦那だっている。



女手一つで

そんなな中でぼくを育ててくれた。

たくさん苦労しただろうに、

そんな僕がせめてもの

最後の恩返しをしたいんだ。


なーんて

まったく思ってませんから(笑)

 


もちろん感謝もたくさんしている。

が、10歳のころの

両親の離婚騒ぎのごたごたに
巻き込まれて

わたしは

かなりなダメージを受けて、
それでずっと苦しむ羽目になった。
それがようやく回復したのが
去年の冬至の日だったのだ。

どうでもいいや、って思えるまで50年近く かかった。

どうしてそのダメージが回復したかとわかったのかというと

そのことを思い出しても
動揺しなくなったからだ。
それまではなかなかこの話は
自分の中でも話しづらいことだった。
当時の思いが甦ると
平常心ではいられなかったが
今は特にそういうことがなくなったので
ああ、終わったのだな。
と思う。

なおかつ

それが自分を成長させてくれた部分ももちろんある。


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T病院に行ったら
看護師さんが
ちょうど点滴の注射針を変えているところだった。

しずこさんは眼を開いていた。

手を握ると相変わらずすごいチカラで
握ってきた。
彼女が自由になるのは
唯一右手だけだ。
それもコントロールは効かないようだが。

体位を変える時
口を開き
いたた。と言うような表情をした。

右手の甲に内出血があった。
しわがれた手の薄皮の下に
青黒いあざが500円玉くらい広がっていた。

看護師さんに言ったら
注射の跡という。
もう3カ月も体に針刺しているものなあ。

向かい側のばあちゃんもほとんど眠っているが
今日はベッドに座って
(背中が持ち上がって食べやすい体制になる電動ベッド。)
今日は看護師さんからスプーンで一口一口
食べさせてもらっていた。

来週に家にかえるでな。

っていったら

無表情で手だけ握っていた。

しばらく手をに握られながら

デジカメで撮影。

その後眠りに落ちて行ったので

スケッチしたのが今日UPした絵。

いよいよ退院の日が近づいてくる。

だんだんと不安な気持ちになってきた。
予測がまったくできない。
初めてインドに行く前の日をよく思い出す。
あの時も不安でいっぱいだった。
なんでこんなことになったんやろう。
と、自分で選んでおきながら。

ケアマネさんに特養探してもらえばよかった。

なんと思ったりもすこしするが

いやいや

ここは俺とロミオの最後の決戦なのだ。と思う。

 



やはりこの人とは

 

最後まで戦いだったのかな?(笑)



看取り日記